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部下のメンタル不調、体調不良への対応方法|メンタルヘルスマネジメント

メンタル不調や体調不良への対応は、正解があるわけではないため、とてもセンシティブで難しい問題です。

今回は「部下のメンタル不調や体調不良が発生した際に、管理職はどのような対応をすればよいのか」について解説します。

目次

部下からメンタルや体調に関する相談をされたら

「どうしても気分が落ち込んでしまう」「体がだるく疲れが抜けない」「最近すぐイライラしてしまう」「眠れない」「健康面で不安がある」

メンバーからこのようなメンタルや体調に関する悩みを言われた場合、どう返したらよいか困ってしまう管理職は多いのではないでしょうか。
良いアドバイスをしてあげられないと、悩まれるマネジャーもいます。

しかし、うまくアドバイスができないことに落ち込む必要はありません。
下手な助言をするよりも、感情に寄り添ってあげるだけで十分です。
メンバーが悩みを吐き出せていること自体が、ある程度ガス抜きになっています。

最も危険なのは、上司や周囲に何も言わずに悩んでいるケースです。
悩みを吐露されている時点で、管理職として一定の役割は果たせています。

管理職は、メンタル不調や体調不良に関する専門家ではないので、課題解決自体を行える能力はありません。
サポートしたいと上司が色々と助言することが、かえって相手のストレスになったり、状況を悪化させる可能性もあります。

「もっと頑張ろう」というような励ます言葉は避け、相手の話を聞き共感する。
「もし業務に差し障りがあるようであればいつでも相談してほしい」といったサポートする姿勢を見せる。

まずはこれで十分です。
もし状況が悪化するようであれば、後述する具体的なアクションに移りましょう。

管理職が持つべき基本的な考え方

管理職の責任範囲と考えて、メンバーのメンタルや体調の問題を抱え込んでしまう方がいますが、それは適切な対応とはいえません。

こうした問題は、専門家や人事のサポートを活用すべき事象です。
部下のメンタルや体調の問題が起こった際に、管理職が持つべき考え方や、対処法についてまとめます。

管理職が持つべき基本的な考え方
  • 管理職に求められるのは、従業員の健康や安全に気を配り、問題があれば状況や環境の改善に取りくむことです。
  • こうした問題に関しては、管理職は把握、対処する責任はあるが、自分だけで解決する能力を持っていないことを自覚しましょう。
  • 業務制限、配慮についての判断は、上長や人事、産業医などと相談しつつ、決定していくのが一般的です。
  • 周りの社員には、メンタルや体調の悩みに関する個人情報は決して漏らしてはいけません。
    また、こうした問題について予め話すことが決まっている場合は、別室で行うなど配慮しましょう。
  • 特定の社員に変則的な対応を行うには、人事制度・ルール作りが必要になる場合があります。
    また、仕事の割り振りや業務時間も複雑になるため、現状の人員や体制でフォローができるか検討も必要です。
    何らかの対応が必要なレベルだと判断した場合は、一人で判断せず、上長や人事に相談しながら進めましょう。

メンタル不調への対応方法

メンタル不調への対応は専門家でも難しく、管理職が解決に導くのは難しい問題です。
そもそもの不調の原因や解決策が明らかであることはめったに無く、原因も複数あるのが普通です。

また、メンタル面の問題は、素人では重症度が見分けにくいです。
ただの愚痴や落ち込み程度の感情の吐露かもしれず、管理職としては周囲に相談する判断がとても難しい事象になります。

後述する「メンタル不調の段階」を参考に、上司や人事に対応するタイミングを判断してください。

メンタル不調への対応方法
  • 「最近ちゃんと寝られている?」と睡眠について確認しましょう。
    メンタル不調が睡眠に影響を与え、睡眠の質が悪化している場合は、メンタルクリニックなどの専門機関の助けを借りた方が良いケースです。
    上長や人事へすぐに報告、相談を行いましょう。
  • 基本的に過重労働は避ける必要があります。
    身体的な疲労・過労は、必ずメンタル症状を悪化させてしまいます。
    時間的・量的な業務軽減を検討しましょう。
  • 他部署や取引先との折衝業務は、可能なかぎり外しましょう。
    複雑な人間関係は精神的な負担となります。
    クレーム対応や、気難しいクライアントへの対応などは、精神的なストレスをかけるため避けましょう。

メンタル不調の段階|相談するタイミングをどう見極めるか

メンタル不調には、下記3つの段階があります。

メンタル不調の段階
  1. ぼんやり調子が悪い、やる気が起こらない、感情の起伏が激しくなる。
  2. 心身症(睡眠障害や、自律神経失調症等の症状が出る)
  3. 行動変調(電車に乗れない、引きこもる、突然泣き出す)

参考『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする? 』上村 紀夫 著

「2段階目の心身症」以降の場合は、何らかのケアなしに自力で戻ることは、ほとんど期待できなくなります。

産業医やメンタルクリニックへの相談には抵抗がある社員も多く、専門家が機能しにくいため、仮に適切な対応を取ったとしても解決しないケースもあります。
管理職としても、メンバーに黙って会社側に相談することがはばかられる気持ちもあるでしょう。

しかし、適切に会社側に相談をしなかったことにより、管理職が責められるケースもあります。
最悪の自体につながるかもしれません。

メンタル不調は適切に上司や人事に相談するタイミングが難しいですが、上記を参考に対応を判断してみてください。

体調不良への対応方法

肉体的な健康に関して、管理職は医学的な意見や判断をする能力はありません。
そのため、通院や治療、業務への配慮などが管理職の責務となります。

従業員の側の意識の変化もあり、不妊治療や、子供の行事や送り迎えなどを理由とした在宅勤務や時間有給の取得など、管理職にはより広範な事象での配慮が求められるようになっています。

現状の勤務形態や制度の中で対応できる部分については、管理職自らの判断で柔軟にサポートしていく必要があります。

また、より重篤な場合、肉体的な健康事由がありつつも勤務を継続するのか、休職するのか等は、最終的には各々の社員の判断になるでしょう。
通常勤務に支障が出るようであれば、特定の人だけ特別扱いは難しいため、会社としての判断や対応が必要となります。
管理職だけの判断で配慮をしてしまうことは避けましょう。

いずれにしても、業務に支障が出るレベルであれば、上長や人事へ相談をしながら対処しましょう。

メンタル不調、体調不良を予防するには

メンタル不調や体調不良は、起こってしまうと解決の特効薬はなく、問題解決が非常に難しい事象です。
したがって、起こってしまう前の予防が重要です。

働きがい、働きやすさの向上で心身(メンタルや体調)のコンディションは改善します。
組織をより良くしようとするマネジャーの日々の努力で、メンタル不調や体調不良は防ぐことができます。

心身のコンディションとやりがい、働きやすさの関係性

心身のコンディションと、やりがい、働きやすさは密接に関係しています。
「やりがい」や「働きやすさ」が高い組織では心身のコンディションは悪くなりにくいです。

反対に、「やりがい」や「働きやすさ」の低い組織では、心身のコンディションは悪化しやすくなります。

メンタル不調や体調不良を防ぐ予防の観点で最も有効なのは、「やりがい」や「働きやすさ」を高めていく活動であり、より良い組織をつくろうとする管理職の日々のマネジメントの積み重ねです。

メンタル不調や体調不良を生まないためにも、管理職は日々マネジメントや組織の改善に努力していかなければなりません。

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