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リーダー、マネジャーへの動機づけを行っていますか?|出世したくない人が8割の時代

新任リーダーやマネジャー育成の現場では、マネジメントスキル向上の前に、そもそも当のリーダーやマネジャーの動機づけができていない(本人はマネジメントをやりたくない)ことが分かるケースが少なくありません。
今回は、上司や人事が見落としがちな「リーダーやマネジャーへの動機づけ」について解説します。

目次

今は出世したくない人が8割の時代である

会社で出世して給料を上げていくこと。過去は、多くの会社員にとってそれは目標でした。
ところが、現在はそれとは全く違った様相があります。

人材サービスのマンパワーグループが2020年3月にまとめた調査では、役職についていない20~50代の正社員400人の83%が「管理職になりたくない」と回答しました。
また、「管理職になりたくない」と回答した人の理由の上位3つは、「責任の重い仕事をしたくない」(51.2%)、「報酬面でのメリットが少ない」(40.4%)、「業務負荷が高い」(40.4%)となっています。

引用: https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20200316.html

この結果からは、「皆が出世を目指している、昇進は喜ばしい」という価値観は既に崩壊しており、そもそも当の本人は管理職になりたいと思っていない可能性が大いにあることが伺えます。
ところが、登用する側の上司は古い価値観を持っており、「管理職になるのはめでたいこと」「本人も嬉しいこと」だと決めつけて、任命している傾向があります。
登用される側のやる気やモチベーションに対する配慮が抜け落ちてしまった任命はあらゆる企業で見られ、新任リーダーやマネジャーが、不満やストレス、怒りを感じているケースは無視できない数です。

動機づけされていない新任リーダー・マネジャーはとても多い

マネジメントへの動機づけがされていない状態では、研修や指導によって管理職に必要なスキルを身に付けてもらおうとしても、本人が望んでいないため身に付けさせることは難しいです。

実際の現場で動機づけされていない管理職が多く見られるのは、新任のリーダー・マネジャーです。
現場の上司も人事も昇進を良いものだと決めつけていて、昇進に際して本人のモチベーションや考えを聞くような対話を行い、動機づけることを全く行っていないケースもあります。
制度や権限、タスクに対する細かい伝達や、マネジャーとしての役割に関する教育をしても、「昇進おめでとう。よろしく頼むね。」では登用される本人は動機づけされません。
これでは、元々管理職になりたかった2割の人以外は、やりたくない管理職をやらされている状態となってしまいます。

組織をマネジメントしていくためには、リーダー・マネジャーを継続的につくっていかなければなりません。
今や人事や上司は、マネジメントに登用する人を動機づけることに、力を入れていく必要性が生まれているのです。

モチベーションがないリーダー・マネジャーの負の影響は大きい

マネトレ利用者において「リーダー・マネジャーにモチベーションがない組織」の半年間の変化を調べたところ、実に89%の組織で従業員エンゲージメントが低下しました。

このように、やる気がない人をリーダー・マネジャーとして置いておくことの弊害はとても大きく、無視することはできません。
一方で、マネジメントに関する能力とやる気の両方がある人のみを登用していては、「マネジメントできる人材が足りない」ということが発生してしまう企業がほとんどでしょう。
では、どうやってリーダー・マネジャーを動機づけていけば良いのでしょうか?

※調査方法:
リーダー・マネジャーにモチベーションがない組織は「マネトレ利用ユーザーの内、まったくログインせず組織改善に取り組まない管理職がいる組織」を指し、当該組織に所属するメンバーに対し3ヶ月に1度サーベイを実施し、エンゲージメントスコアの推移を計測

リーダー・マネジャーを動機づけるにはどうすればよいのか?

リーダー・マネジャーを動機づけていくには、全社的な取り組みと、現場での取り組みの両方が必要です。
例えば、いくら会社として魅力的な報酬制度やサポート体制をつくったとしても、現場の部長が朝誰よりも早く出社し遅く帰るようでは、「そんな働き方をしてまで昇進したくはない」と社員は考え管理職になりたいとは思わないでしょう。

全社的な取り組み例
  • なりたいと思える管理職の役割や報酬制度の再考
  • 労働環境の整備(管理職のワークライフバランスへの配慮、管理職業務の省力化・効率化)
  • 教育環境の整備(学びに対するサポート)
  • 管理職を孤立させないフォロー体制
  • キャリア教育(管理職でもスペシャリストでもないマイペースのキャリアはないことの周知など)
  • 管理職像の多様化(引っ張るリーダーだけでなく、サーバントリーダーシップを発揮する管理職もあるなど)
  • 現場の推薦する管理職候補に対する第三者からの対話、動機づけ
現場での取り組み例
  • 管理職になりたくない可能性を考慮し、登用に際しては丁寧なコミュニケーションを取り、必要に応じて時間をかけて進める
  • なりたくない背景を聞き、その原因を解決・改善できないかの検討
  • 管理職になって得られること、成長できることをしっかりと伝える(給与のアップ、権限が増えることによる意思決定の幅、マネジメントすることによって得られる仕事のやりがい、市場価値の向上など)
  • 管理職になるまでのステップの整備(徐々に権限や裁量を増やしていくなど)
  • マネジメント負荷への配慮 (チームの構成メンバーや、補佐するリーダー的な存在をチームに入れるなど管理職のマネジメントのしやすさへの配慮)
  • 登用後も管理職の悩みを吸い上げる姿勢

メンバーと同様に、リーダー、マネジャーにも動機づけは必要

会社の中でより高い職位を目指すことが、かつては多くの人にとってキャリアの目標でした。
しかし、価値観やライフスタイルの多様化、転職の一般化、共働き世帯の増加、ワークライフバランス重視、個人のキャリアに対する意識の向上などにより、今いる会社で出世することが共通の目標ではなくなっています。
共働き世帯であれば、片方がほどほどに働き家事の多くを担って、片方が給与の高い会社に勤め仕事に精を出すといった、夫婦でバランスを取る若い世代は珍しくありません。
最近では、副業が広がったことにより、本業で管理職に登用されることで昇給する給料以上を副業で稼ぐ人も出てきています。
今後「管理職になりたくない」という人はさらに増加するかもしれません。

だからこそ、人事も現場の責任者も、マネジメントに登用したい人の動機づけから始めなければなりません。
会社として「管理職になりたい」人を増やすためのさまざまな改革も必要になります。
管理職に必要な知識やマネジメントスキルの教育の前に、まずはリーダー、マネジャー候補としっかり対話することからはじめましょう。

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