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メンバーを成長させるフィードバックの方法|マネジメント手法としてのフィードバック

ビジネスの現場において、「フィードバック」という言葉は日常的に使われますが、体系的に学ぶ機会がないこともあり、フィードバックの方法は我流という方が多いと思います。
今回は、マネジメント手法として効果的なフィードバックについて解説します。

目次

フィードバックとは?

もともとフィードバックは、制御工学の用語です。電気や機械などの制御において、アウトプットの結果をインプット側に還元することで誤差を調整し、目標値に近づけるという考えです。
例えばエアコンは、暑い日に室温を25度(目標値)に下げたい場合、逐次室温を測り、26度であれば冷風を送り、24度になったら一旦停めるというふうに、結果をフィードバックすることで室温を目標に近づけるよう調整しています。

ビジネスの場では、フィードバック=行動の結果を評価し相手に伝えることで、次の行動に反映させることをいいます。
「feed=食糧、糧」「back=返す」という意味なので、相手の目標達成や成長の糧となる有益な意見を返すことが、フィードバックにおいて重要なポイントです。
しかし、現場では、批判だけ伝えてしまっていたり、「何となく違う」など理由を伝えず否定していたりと、次の行動につながらない意見になってしまっているケースが少なくありません。

人間は機械と違って感情を持ちます。
基本的な欲求として、承認欲求(他者から認められたいという欲求)があります。
そのため、機械のようにただ結果を返すだけでは、良いフィードバックとはなりません。
効果的なフィードバックにするためには、人の感情を考慮する必要があります。

フィードバックの目的

フィードバックの効果を語るためには、フィードバックの目的を明確にするのが第一です。
大きく分けると、①軌道修正、②内省支援、③動機づけの3つが主な目的となります。

① 軌道修正

いかに目標を細かに共有しても、細部まで全く同じ考えで動ける部下はいません。想定と異なる行動をとる部下は必ず出てきます。
フィードバックを行うことで、部下にそのズレを認識してもらい、目標達成に向けて軌道修正します。
早期に軌道修正できれば、それだけ無駄な遠回りをせずに済み、目標に向けて最短距離で進むことができます。

② 内省支援

忙しい現場では、目の前の業務に忙殺され、なかなか自身の仕事を振り返る時間を設けられないメンバーが多いです。フィードバックは、そんなメンバーに内省の機会を与えます。
MBO(目標管理制度)で行う評価面談も内省の場の1つですが、半年や1年に1回という頻度では、学びが少なすぎます。
また、時間が立つとその時何を考えて行動していたかも忘れてしまい、経験学習の効果も薄れてしまいます。
業務中に気づいたことは、その都度タイムリーに行うフィードバックが効果的です。

③ 動機づけ

部下が「難しい、できないかも」と感じている業務でも、プロセスのフィードバックにより、目標達成や課題解決の道筋が見えてきたり、進捗や行動に対して褒めたり、認める(見ていることを伝える)フィードバックによって、「自分にもできそう、やれる」というポジティブな心持ちに変わっていきます。
このように自己効力感を高め、仕事へのモチベーションを高める目的でもフィードバックは効果的です。※自己効力感=自分がある状況において必要な行動をうまく実行できるという「自信」の一種。

ポジティブフィードバックを心がける

フィードバックには、肯定的な内容を伝える「ポジティブフィードバック」と、否定的な内容を伝える「ネガティブフィードバック」の2種類があります。

部下のアイデアに対して、「全然ダメ、うまくいくイメージがない」など否定的な意見だけ伝えてしまっていることはありませんか?
部下が考えて出したアイデアに対して、否定的な意見だけで一蹴してしまうと、多くの場合モチベーションを下げてしまいます。アイデアを出そうという気持ちすら削いでしまうかもしれません。
そうならないように、まずはポジティブフィードバックを心がけましょう。

ポジティブフィードバックは、部下の良い点に着目し、「ここが良かった!この調子で頑張ろう」と伝えます。
承認・称賛とセットで望ましい行動をフィードバックすることで、承認欲求を満たし、意欲を向上させる効果が期待できます。
褒めて伸ばすマネジメントが適する若手メンバーに効果的です。

たまにはネガティブフィードバックも必要

ポジティブフィードバックばかりだと、現状に満足してしまい成長を止めてしまう可能性があります。たまにはネガティブフィードバックも必要です。

ネガティブフィードバックを行う際は、「だからお前はダメなんだ」「人として良くない」のように部下の人格否定にならないように気をつけてください。
事実に基づき、「この発言はよくない」「この行動は自分勝手に映るよ」のように具体的な言動に焦点を当てたフィードバックをするのが適切です。

また、ネガティブな内容を伝える場合も、先に良い点を伝えたり、具体的な改善のアイデアを添えることで、次につながる前向きなフィードバックにすることができます。

フィードバックの例
  • NG
    「この資料、色を使いすぎで見にくい。」
      
  • OK
    「資料の内容はいいと思う。色が多くて強調したい箇所が伝わりにくいから、3色くらいにしたらもっと良くなるよ。」

アメリカの映画制作会社Pixarでは、誰かの作品を批判するなら、その批判は必ず新しいアイデアか提案を含んでいないといけないという「プラッシング」ルールを設定しているそうです。
チームミーティングなどでは、先輩から後輩へネガティブフィードバックばかりされることもあるため、議論の際は事前にポジティブフィードバックを心がけるよう伝えると効果的です。

ポジティブとネガティブのバランスや、相手への伝わり方を考えて使い分けないと、せっかくのフィードバックが逆にモチベーションを下げたり、関係性を悪化させる場合もあります。
フィードバックを行う際は、どんな伝え方が適しているか、その都度、意識的に使い分けるようにしてください。


いかがでしたでしょうか?
タイムリーなフィードバックは、目標達成に向けて早期に軌道修正したり、部下に内省機会を与え成長を早めるのに効果的です。
ネガティブフィードバックが多くなってしまわないよう、ポジティブフィードバックを心がけてみてください。

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