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リーダーシップを正しく理解しよう|上級管理職と中間管理職で異なるリーダーシップ

日常的に使われるリーダーシップという言葉ですが、「リーダーシップとは何か?」と問われると、多くの人は言葉に詰まるのではないでしょうか。

今回は、リーダーシップの定義と、上級管理職、中間管理職で異なるリーダーシップの発揮の仕方について解説します。

目次

リーダーシップの定義

リーダーシップは、学術的にも実務的にも諸説あり、複数の文脈で使われています。
経営学者のドラッカーをはじめ、多くの研究が行われ、さまざまな理論が生まれました。

中でも、組織行動論を専門とする神戸大学大学院の鈴木竜太教授が、リーダーシップについて下記のように分かりやすく定義されています。

リーダーシップとは、集団のメンバーが目標達成に結びつく行動を促していく能力

マネジメントがリーダーシップを効果的に発揮するには、自らの立場により異なるリーダーシップを使い分けることが重要です

なぜなら、リーダーシップは実際に発揮することに意味がありますが、上級管理職か中間管理職かで求められる(発揮しなければならない)リーダーシップは変わるからです。

リーダーシップの種類|上級管理職と中間管理職では異なる

リーダーシップを発揮するアプローチには、2種類あります。
この2つを使い分け、成果を創出するのが会社組織におけるマネジメントの役割です。

直接的リーダーシップ

部下の態度や行動に対して、リーダーの行動で直接的に働きかけ行動・意識を変容させる

間接的リーダーシップ

部下の態度や行動に対して、組織制度や文化醸成といった仕組みで間接的に働きかけ行動・意識を変容させる

指示やOJT、1on1での対話といった行為を通じて発揮する直接的リーダーシップの影響力は大きく、個人やチームなど比較的少ない人数に働きかけることに向いています。
中間管理職にとって利用頻度が高く主体となるリーダーシップであり、最も必要なリーダーシップです。

一方で、発揮するにはコストがかかり(労力がかかる)、大人数に対して行使するのは時間的、マンパワー的に難しくなります。

カルチャーや人事制度、職場のルールや働き方といったことを通じて、間接的に発揮するリーダーシップは、影響力は小さいものの、より広い集団に、持続的に働きかけることに向いています。
上級管理職や経営レベルが発揮するリーダーシップは、大人数をマネジメントするためこちらが主体となります。

全体に広く影響を与えることができるものの、個別アプローチする直接的リーダーシップに比べると、与えられる影響力は小さくなります。

上記はあくまで目安であり、中間管理職も自組織における間接的リーダーシップを疎かにしてよいわけではありません。
直接的リーダーシップと間接的リーダーシップは、立場により必要とされるバランスは異なりますが、両方が必要です。

リーダーシップの構造|直接的、間接的で異なる影響力の矢印

感覚的にリーダーシップを発揮している方が多いと思いますが、定義と構造が理解できると、あやふやだったリーダーシップが明確になり、より効果的に使えるようになります。

下記図では、直接的リーダーシップと、間接的リーダーシップが、どのような順番で影響を与えるのか図解しています。
自身のリーダーシップは、直接的リーダーシップと間接的リーダーシップの両方が発揮できているか?ぜひ考えてみてください。

リーダーシップの概略
参考:『自律的な協同を促すリーダーシップ』Harvard Business Review July2020 Ryuta Suzuki

マネジメントに必要なリーダーシップとは?

「ビジョンを語り、大きな目標を掲げ、困難に立ち向かう」いわゆるカリスマ型や変革型のリーダーシップは強力であり、有無を言わせぬ力があります。

一方で、そのリーダーシップは先天的な部分が大きく、ビジネスの現場において誰もが発揮できる類のものではありません。

カリスマ型のリーダーシップは、リーダーの言う通りに仕事を強力に進めさせる力がある一方で、現場の主体性を削いでしまったり、異なる意見が生まれにくくなるデメリットがあります。

変化が激しく不透明な世の中では、現場の状況は日々変わっています。
「現場のメンバーが主体的に考え、行動し、協働するように導く」、そのようなマネジメント、リーダーシップの方が不確実性に対処でき、中間管理職や上級管理職レベルではむしろ有効と言えるでしょう。

このようなリーダーシップの姿は、前述のリーダーシップの構造を理解し行動することで、すべての中間管理職・上級管理職が発揮できるはずです。

マネジメントに必要なリーダーシップは、後天的に身につけられる

リーダーシップは社会人になってから後天的に獲得するのは難しいと言われることがあります。
確かに、テスラのイーロン・マスクや、ソフトバンクの孫正義のような強烈なリーダーシップを持ったビジネスリーダーを、後天的につくることは不可能でしょう。

しかし、リーダーシップが何であるかを理解することで、マネジメントに求められるレベルのリーダーシップの獲得・発揮は十分可能です。

会社組織においては、カリスマばかりが必要ではありません。
ひとりの良きリーダーによって、チームを成功に導くことは十分できるのです。
ぜひ明日からリーダーシップが発揮できるようトライしてみてください。

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