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ミドルマネジャーの負担はなぜ増えているのか?

マネジャーの負担が増している。ミドルマネジャーが疲弊している。管理職のうつが問題になっている。
こんな悩みを経営者や人事からよく聞くようになりました。
コロナによるリモートワークでのマネジメントの難しさもありますが、ミドルマネジャー(中間管理職)の負荷増加の流れはコロナ以前からのものです。
なぜミドルマネジャーの負担が増えているのでしょうか?
今回は、現在の管理職が昔より難しい環境下でマネジメントをせざるを得ない理由について解説します。

目次

ミドルマネジャーの負荷に課題を持つ企業は半数以上

「昔から中間管理職は大変だったよ」と年配の方は思うかもしれません。しかし、各種調査の結果でも、ミドルマネジャーの負荷増加を企業は危惧しているという事実があります。
例えば、リクルートマネジメントソリューションズが先日発表した企業人事の管理職491人に対して行われた「人材マネジメント実態調査2021」によると、組織課題において最も課題認識が大きいものは「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」でした。
調査対象の55.2%と実に半数以上で課題があると回答しています。
これは、2位の「職場の一体感が損なわれている」の1.5倍の数字です。

客観的なデータとしても、現場の肌感としても、ミドルマネジャーの負担は確実に増えており、マネジメントは昔に比べてはるかに難しくなっているのです。
参照:https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000354/?adid=210802list16&cp1=210802list16

なぜマネジメントは難しくなっているのか?

同質性が高い組織は、マネジメントが容易です。なぜなら、価値観や基準、文化、空気を共有し、理解できるからです。コミュニケーションが少なくてもマネジメントができ、1言って2伝えることが可能でした。同質性の高い組織の構成員は、程度の差はあれど行間を読んで理解してくれます。
日本型雇用と言われる、終身雇用と年功序列は、極めて同質性の高い仕組みでした。
社員が辞めるインセンティブがなく、制度として会社への求心力が担保されており、なおかつ同質性が高くコミュニケーションは伝わりやすい。つまり、マネジメントはしやすかったのです。
新卒比率が高い会社ほど、その会社のマネジメントは似通っている傾向があります。会社外の人間から見ると、ほとんど同じに見えるほどです。

ところが、転職は一般的になり、今では大企業からスタートアップ企業に転職する例も珍しくなくなりました。
日本型雇用は多くの企業でもはや信じられるものではなくなりました。企業はグローバル化とIT化によるビジネス環境の早い変化についていくために、即戦力人材を中途採用という形で積極的に採用するようになり、人材の流動化も進みました。
結果として、もともとあった同質性は薄れ、コミュニケーションコストは増大しています。
1言って2伝わったものが、5言って1伝わるような環境に変化しているのです。これがマネジメントが難しくなっている背景です。
「それくらい分かれよ」「察しろよ」といったコミュニケーションを取る管理職もいますが、それは今の時代は通用しません。悪気があるわけではなく、管理職自身が過去そのような指摘を受けてきたので、同じように振る舞っているだけなのですが、もはや行間を読んでくれというコミュニケーションは通用しないのです。
察することのできないメンバーに問題があるのではなく、「伝える力」を管理職は磨く必要があるのです。
(参考) 部下の不満が蓄積する管理職に共通する残念な行動とは?|伝える力の大切さ

多様性は組織において遠心力

職場の多様化(ダイバーシティの高まり)により、マネジメントは難しくなっています。
多様性が高まり、さまざまな考え方の人が増えるほど新しいアイデアが生まれたりイノベーションは起きやすくなりますが、異なる考えの人をまとめなければならないためマネジメントの難度は上がります。
つまり、多様性は組織にとって遠心力になるのです。

例えば、女性の労働参加、女性管理職の増加、共働きが当たり前、働く時間や場所の自由、正社員や契約社員、地域限定社員等の多様な雇用形態、年代による労働観の違い、LGBTQといったセクシャリティ等、職場のあらゆることが多様化しています。

また、テクノロジーの進化の影響もあり、年代によって重視する価値観や労働観は大きく異なります。
20代と30代でも異なりますし、20代と40代ともなると、もはや同じモノサシや価値基準を持っていません。
普段情報を得ているメディアや利用するサービスも大きく異なります。20代、30代は新聞やTVニュースではなく、ニュースアプリやSNS、You Tubeで情報を得ています。

このように、現代はこれまで日本社会が経験していなかった多様な価値観の人材をマネジメントする必要が出てきています。このような多様性は、昔は企業内で認められていませんでした。

さらに、今後は外国人も含めたマネジメントが求められるようになり、より多様性が高まっていくはずです。
現在は多様性が増した結果、組織の遠心力が強くなった時代と言えるのです。

問題社員によるマネジャーの疲弊

また、個の権利意識が増大し、個を重んじる価値観が高まった事により、新たな問題も生まれました。自由を履き違えた問題社員の発生です。
上司の言うことを聞かない、周囲に悪影響を及ぼす部下に、ストレスを感じる上司も増えています。
実際にマネトレを利用する管理職でも、人間関係の問題での相談で最も多いのが、問題社員への対応です。注意はしても聞いてくれない、クビにできるわけではないしどうしたらいいのか?といった具合です。上司からも適切な助言やフォローがもらえず、自分で抱えこんで悩んでいる姿が見て取れます。
日本においては社員の雇用は守られているので、問題社員は自分勝手な言動をしても大丈夫だと思っている節があり、マネジャーが対応に苦慮してストレスを感じているのです。

また、厳しく言わなければならない場面でも、パワハラになるのでは?と指導の仕方に悩むマネジャーも多いです。
過去には問題にならずに見過ごされてきたり無視されてきた言動が、今の時代だと問題となることが多いことから、ハラスメントの基準の難しさも相まってストレスの原因となっています。
こうした部下からのプレッシャーや、部下への対応の難しさも、マネジャーの悩みの種になっています。

いかにして管理職をサポートしていくか

このような変化の中、管理職を教育し、サポートしていく仕組みは必須です。
なぜなら、彼らの過去に見てきたマネジメントでは、今の時代に対応できないからです。過去から学ぶではどうにもならないのです。
何もしなければ、センスで対応できる一部社員のみしか適切なマネジメントを行うことはできないでしょう。

また、管理職のうつも問題となっており、管理職への負荷増加も無視できません。良き相談相手となるコーチのような存在の必要性も増していくはずです。

これまでの管理職が経験したことのない状況の中でどうやってマネジメントしていくか。
管理職に学びの機会を提供し、サポートしていくことが企業に必要となっています

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