メンバー間の人間関係の悪さに頭を悩ませるマネジャーは少なくありません。
今回は、同僚との関係性が悪いチームでのマネジメント方法についてご紹介します。

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管理職からの相談|同僚との関係性が悪く対処に困っている

同じ課の1つのグループが、他のグループに大きな不満を抱えています。正直修復が困難なくらいに溝が広がってしまっているように感じています。
個別に面談で話を聞いてみたのですが、理由が合理的では無いものがほとんどです。理不尽にも感じており、私自身イマイチ理由に腹落ちできていません。
不満を持っているメンバーがいるグループは旧来からの既存ビジネス(成長期待薄)を担当しており、不満の対象となっている隣のグループは成長が期待されている新しい事業です。
そのため、仕事のルールや進め方が異なっていたり、忙しさやビジネスの状況に大きな違いがあります。
典型的な新旧事業の対立のように感じますが、メンバー間の融和を少しでも促進するアプローチはないでしょうか?

(不満の例)
・需要変動が大きく手続きの変更や短納期の依頼が多い
・従来のやり方が新しいビジネスに合わない事で色々改善をしている事がうざい
・単純にいつもバタバタしていてうるさい等

コーチからの回答|組織を分けるか、融和を図るか

メンバー間の対立は悩ましい問題ですね。特に新旧事業の対立となると、なおさら難しい問題と思います。

軋轢に対しては、2つのアプローチがあります。
①組織そのものを分けてしまう
②融和を図る
どちらを選択するかは、問題の原因が何からきているのかによります。

① 組織そのものを分けてしまう

新旧事業の軋轢はどの企業でも発生します。
これは、単純な人間関係の問題ではなく、顧客を奪い合いビジネスが競合してしまう、双方にとっての良いことが根本的に異なる、メンバーレベルの視座では新事業の重要性が理解できない(まだ売上が小さいため軽視している等)、といった構造的な問題をはらんでいます。
事業の伸びが単純に面白くなかったり、期待の有り無しによる嫉妬といった感情的なハレーションもありますが、根本は事業の構造的な違いから生まれています。

そのため、融和を図る難度の高さや、融和が成長事業にとってマイナスになることを鑑みて、組織体として別にしてしまうことを選択する企業も多いです。
新規事業について、オフィスの場所を別にしたり、別会社化するのは、その最たる例です。
対立してしまう、一緒にやることが難しい理由があるならば、組織を分けることは必ずしも悪いことではなく、双方にとってその方が良いこともあります。

② 融和を図る

もう一つは、融和を図るという方法です。
ただし、問題の原因が相手方ではなく、不満を言う当人の中にある場合があり、この場合は、相手方との話し合いでは解決しません。

  • 理由が合理的な場合は、双方の歩みよりで解決策を導きだします。
  • 理由が合理的でない、理不尽な場合、問題の本質は怒りや不満を抱く当人にあります。

問題が当人にある場合は、イメージがしにくいと思いますので以下で説明します。

怒りの感情は2次感情であり、怒りよりも先に生じている1次感情がある

心理学では、怒りは2次感情と呼ばれ、怒りが湧いた場合、その怒りよりも先に原因となる何らかの感情(1次感情)があるとされます。

例えば、締切に遅れた部下を上司が叱りつけたとします。この時、いきなり怒りが生まれるのではなく、「納期に遅れて困る」「約束したことを守ってくれなくて悲しい」といった感情が、「怒り」に変換されて発露しているのです。

上記は、合理的な理由での怒りの発露です。これはイメージしやすいと思います。
今回ご相談いただいた同僚との不和のケースでは、合理的でない、理不尽と感じる理由をメンバーが発言しているとのことで、問題は少し複雑になります。

合理的でない理由の怒りや不満の裏には、本当の理由が隠れている

怒りや不満の原因が、不合理や理不尽な場合は、人の心の防御反応が絡み、少し複雑になります。

例えば「隣のチームだけ景気が良くてチームの雰囲気も良くてずるい。私は成長事業に配属されていなくてくやしい。むかつく」というのが怒りや不満を持つ人の本心なのですが、本人もそうした感情は「正しくない感情」と思っており、それを認めると自分が辛くなってしまいます。(=自分への裏切り)

そこで、意識的、無意識的に関わらず、心の防御反応として自分を守るために、「何らかの正しそうな理由をでっちあげて、自分を正当化しようとする」という反応が生まれます。
今回のケースでいえば、本当は嫉妬や不安や悔しさなのに、「急な変更やバタバタしていることがムカつく」みたいな一見正しそうな理由をつくり、自分を正当化して守ろうとするわけです。

いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点からみるようになります。
それは、「他人の欠点を大げさにあげつらう」「自分の長所を過大に評価する」「自己欺瞞を正当化する」「相手に非があると考える」といった形で表れます。

また、組織において同じような正しくない感情を持ってしまう人が複数いる場合、互いに口実を与え合い、互いに自分への裏切りを正当化しあうことで、より強固になってしまうことがあります。
※この人の心の動きに関しては、米国の研究所アービンジャー インスティチュート著『自分の小さな「箱」から脱出する方法』が詳しいです。

問題解決のステップ(1)|理由が合理的な場合

理由が合理的であれば、対立相手と話し合い、お互いに歩み寄り解決すれば問題ありません。
建設的な議論になるように、アジェンダを用意し、事前に考えられる情報は共有した上で、ミーティングを実施すると良いでしょう。

お互いの正義のぶつかり合いを防ぐためにも、事前にその不満の原因に対して、恐らく相手はこのように考えてそうした行動を取っているんだろうな、というシミュレーションをメンバーとすると尚良いです。

あなたと同じように、相手には相手なりの考えがあって、そうした行動をとっている。
どうしてそうした行動を取っているのだろう?と、メンバーに事前に考えさせておくとより建設的な議論になリます。
本件と内容は異なりますが、ナラティブ・アプローチの考え方は頭に入れておくとファシリテーションがしやすいです。
(参考)職場でのナラティブ・アプローチ

問題解決のステップ(2)|理由が合理的でない場合

不合理、理不尽な理由である場合、問題は当人にあるので、相手方との話し合いでは解決しません。話し合いを実施すると、感情的な対立が深まるだけになってしまいます。
そうした場合の、問題解決のステップをご紹介します。

(1) チーム内で不満を明らかにし、客観視させる

まずは、相手方に要望するためといった体で、信頼できる仲間内のミーティングで不満を言語化させます。
この時、大抵の場合は感情のもつれが入ってくるため、本人は自覚がない理不尽な不満がいくつも上がってきます。
ところが、当の本人は自分への裏切りを正当化する状態に入っているため「自分が正しくて相手は間違っている」という考えで固まっています。
そのため、まずはホワイトボードなどに不満を全て書き出し、見える化します。
次に、リーダーは合理的でない点を「問い」を使ってソフトに指摘し、不合理さを本人達に認知させます。

例えば、「需要変動が大きく手続きの変更や、短納期の依頼が多い」という不満は、相手の問題ではなく顧客や営業の要因であり、相手が悪いわけじゃないのでは?といった問いかけです。
また、相手チームのやり方がダメだと言うなら、どうして欲しい、自分だったらこうする、がないと適切な指摘じゃなく、ただのクレーマーになってしまうね。どうしたら良いと思う?といった形で問いかけます。

仲間内であれば、こうした指摘が攻撃ではなく、純粋な疑問として問いかけることが出来るので、本人も反発せず考えることができ、自分の意見の不合理さを自覚しやすくなります。
このプロセスでは、「答えやすい雰囲気で議論を進めること」「あなたの味方だよというリーダーの姿勢」が重要になります。

(2) 怒りや不満の裏に隠れた本音を自覚させる

(1)のステップを行うと、合理的に他者に説明できないため、そのうち議論が停滞します。
しかし、本人たちにとっては、相手が間違っていなくてはなりません。
自分が間違っていることを認めるのは辛い行為であり、自分を正当化するには、相手が責めるに値する人間でなくてはならないからです。
必死に理由を探し、「でも●●だから」と、これまでとは違った不満を口にするといったことが見られます。
その場合でも冷静に(1)と同じ問いかけを行いましょう。

合理的でない、理不尽な不満や怒りが出揃い、皆がその不満や怒りの不合理さ、理不尽さをなんとなく感じ始めたら、本人が口にしたくない本音の負の感情(停滞事業への不安、成長事業への嫉妬、会社から評価されていないのではといった不満等)の原因について触れていきます。

「相手が悪いのではなくて、今自分が置かれている状況について、会社の判断に対して不満があるのではないか?」といったことです。
不満の原因を指摘すれば、それによる感情(例えば相手への嫉妬)は、本人が自覚に至ているようであれば必ずしも指摘する必要はありません。特にプライドの高い人の場合は、指摘しない方が無難でしょう。

上司としては、ここで出てきた本音を、そんなことはないよと否定し、解消することが、問題解決に繋がります。
今回であれば、「会社として成熟事業を切り捨てるわけではない、今会社を支えているのはあなた達で、会社も期待している。」といったことです。

その上で、合理的な不満が残り、建設的な議論ができそうであれば、「問題解決のステップ(1)理由が合理的な場合」に移りましょう。

注意点としては、「問題解決のステップ(2)理由が合理的でない場合」は、上司自身がメンバーと信頼関係を築けていないと、ミーティングで本音の吐露に至らず、怒りの矛先が上司に向きかねません。
もし、ミーティングをファシリテートすることに不安があれば、日々の1on1などのメンバーとの個別対話を通じて、上記のステップを緩やかに行い、徐々に変化を促していくやり方でも問題ありません。

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