MENU

「成長実感」とは何か?|能力・スキルの向上を実感させるマネジメント方法

能力・スキルの向上は、マネジャーでは解決が難しい問題と思っていませんか?

たしかに、研修など会社側が準備するものには、マネジャーは影響ができないかもしれません。
人事主導の研修、現場主導のOJTのように育成責任の所在が分散しているため、人事の問題と思われていることもあります。
しかし、研修以外の部分では、マネジャーが影響を与えられることが意外とたくさんあります。

今回は、成長実感を高める方法として、成長させる方法、成長を実感させる方法に分けて解説します。

目次

成長とは?|人それぞれに定義が違う

日常でもよく使う「成長」ですが、定義と言われると答えづらいと思います。
辞書を見ても「育って大きくなること」「一人前に成熟すること」と汎用的な表現に留まり、はっきりしません。
これは、人それぞれに価値観や目指す方向性が異なり、成長したと感じるポイントも個別性が高いため定義しきれないのです。

研修の一環として、成長を定義するというワークを行なったことはありませんか?
経験がなくとも想像がつくかもしれませんが、実際に十人十色の定義が生まれます。

成長とは
  • 今までできなかったことが、できるようになること
  • 今よりもっと上手くできるようになること
  • 自分の限界の幅が広がること
  • 自分で意思決定できる事柄が増えること
  • より大きな課題解決ができるようになること
  • 仕事に対して受動から能動になること
  • 能力やスキルが向上し、それが活かせること
  • 経験や知識、スキルに自信を持てるようになること
  • 他者から認められること

マネジメントする際に、メンバー1人ひとりにとっての成長を理解し切るのは至難の技です。ある程度大まかな分類で捉えるというのが現実的です。

成長のプロセス|技術的成長と精神的成長の相互作用

成長には、技術的成長と精神的成長という2つの側面があります。

技術的成長:能力・スキルの習得や向上により、巧みな仕事ができるようになること

精神的成長:自信がつく、忍耐力・持続力・逆境に立ち向かう力がつくなど内面的な変化

人はまず、「この仕事を1人でこなせるようになりたい」など、技術的に成長したいという欲求を持ちます。
経験を積んでいくと、遅かれ早かれ仕事ができるようになり、技術的成長を実感します。

成功体験が重なり、周りから承認・称賛されるようになると自信がつきます。これが最初の精神的成長です。
一度認められると同じ仕事の質ではなかなか褒められなくなります。承認欲求から「もっと上手くできるようになりたい」という意欲が湧き、さらなる技術的成長につながります。
このように、技術的成長と精神的成長を繰り返して、人は成長していきます。

しかし、仕事に慣れてくると技術的成長は緩やかになり、惰性が生じます。モチベーションの低下やキャリアの停滞感を感じるようになります。
3~5年目で転職したい人、異動したい人が増えるのも、この停滞感が1つの理由です。
全く新しいことにチャレンジする方が、簡単に技術的成長でき、成長実感を得やすいからです。

会社や組織にとっては、仕事が一人前にできるようになった途端に退職されるとかなりの痛手です。
仕事に慣れてきたタイミングでは、新しいミッションや役割を与えて、惰性でこなせる状態を作らないことが重要です。

守・破・離|仕事をこなせるようになったら、ミッションや役割を与える

成長には、縦軸(高さ、深さ)と横軸(広さ)の2軸があります。
転職や異動をして全く新しいことにチャレンジするのは、能力やスキルの幅を広げる横軸の成長です。
同じ仕事の中で更なる成長を目指すのは、能力やスキルを高める(深める)縦軸の成長です。

茶道や武道の言葉で「守・破・離」と言いますが、縦軸の成長にはこの考えが必要です。

守・破・離 / 縦軸の成長に必要な考え
  •  : 基本・基礎を守り、仕事をこなせる状態
  •  : 仕事の基礎を破り、試行錯誤をしながら自分流のスタイルに挑戦
  •  : 基礎から離れ、新たな知識やノウハウを創造

守の状態が続くと、メンバーは停滞感を感じ、新しいチャレンジを考えます。
その前に、破を思考させるようなミッションや役割を与え、仕事のレベルを高めましょう。

同じ組織内で真新しい仕事はそれほど発生しないことが多いですが、同じ仕事の中でも、責任範囲を広げ、部下自身が意思決定できることを増やすことで、業務のレベルを上げることができます。以下を参考にしてみてください。
・権限を一部委譲し、その権限の範囲での意思決定を任せる
・業務プロセスの見直しや標準化のミッションを与える
・メンターとして新人育成の役割を与える

成長を実感するタイミングとは?|承認・称賛の重要性

もう一つ押さえておきたいのが、メンバーが成長を実感するタイミングです。
仕事をする中で新しい知識や気づきを得たりと、日々少しずつ能力・スキルは向上しているはずですが、日々成長を実感しているという人は少ないと思います。

成長は実感するタイミングがあります。
成長を実感するのは、目標を達成した、プロジェクトをやり遂げた、評価された、承認された、褒められたなどのタイミングです。
目標達成やプロジェクトの完遂などは、成果が出るまでに時間かかることも多く、それだけだと成長を実感するタイミングが少なすぎます。
マネジャーからの承認・称賛を上手く活用することが重要です。

承認と称賛は別物で、成果を褒めることだけが承認・称賛ではありません。
結果承認、プロセス承認、行動承認、意識承認、存在承認という5つの承認レベルを理解すれば、承認・称賛する機会を増やせ、成長実感を高めることができます。
詳しくは、以下のコラムで解説しています。
(参考)承認・称賛のマネジメント|部下のやる気を引き出す承認と称賛の使い方


いかがでしたでしょうか?
マネジャーとしてメンバーの成長実感を高めるには、実際に成長させることだけでなく、成長を実感させるタイミングを作ることも重要と感じていただけたかと思います。
ぜひ承認・称賛を使いこなし、メンバーの成長実感を高めてください。

よかったらシェアしてね!
目次