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部下のやる気を引き出すマネジメント|承認・称賛の活用法

「承認」と「称賛」の違いを正しく理解すれば、場面に合わせて「承認マネジメント」を活用できるようになり、部下を動機づけする機会を増やすことができるようになります。

今回は、部下のやる気を引き出すマネジメントとして、「承認」と「称賛」の活用方法を解説します。

目次

褒めると好意が返ってくる

称賛とは、褒めることです。
褒めて伸ばすと言いますが、その効果は心理学や脳科学でも語られています。

心理学では、人は好意を寄せられると相手に好意を返さないといけないと思ってしまう「好意の返報性」があるとされます。

褒めるという行為は、褒められる相手にとって好意的なものであり、相手も好意を返してくれる可能性が高まるため、人間関係を良化する効果があります。

また、脳科学では、人は褒められたとき、脳内にドーパミンが分泌されていることがわかっています。
ドーパミンは快楽物質と呼ばれ、脳が快楽を感じる直接の源になっている物質です。

褒めることは、部下が頑張ったことへの報酬となり、「次も頑張ろう」と努力を継続させる効果が期待できます。

誰であっても、上司やチームメンバーから称賛されると嬉しいものです。
称賛はマネジメントには欠かせません。

称賛の活用|褒めるマネジメントの注意点

他人と比較しない

他人と比較した褒め方は基本的にやめましょう。

特定の個人でなく、一般的な集団(同期、若手、業界など)と比較する分には問題ありませんが、特定の個人と比較して褒めると、比較された相手を下げるように聞こえ、部下に良く思われないため逆効果です。

また、他人と比較する意識があると、その人自身の成長を見落としがちになり、褒めるタイミングが減ってしまいます。
マネジャーは、以前はできるプレイヤーだった方がほとんどのため、自らの基準でみて「そんなに褒めるようなことがない」と言われるケースがとても多いです。

しかし、部下自身の成長に注目すれば、たとえそれが小さな変化でも、頑張って成長した点は何か見つかるはずです。

具体的に褒める

誤った方向に努力が向いてしまわないよう、具体的に褒めることが重要です。

「顧客ニーズに合わせたメリットが訴求できていていいね!」
「効果的に図解やグラフが使われていて伝わりやすい」など。

たとえば、部下からの資料チェック依頼に対して、「この資料いいね!」と褒めたとします。
部下は褒められて嬉しいのですが、具体的に伝えないと、「何が良くて褒められたのか」認識がズレる可能性があります。
上司は提案内容を褒めたつもりが、部下は資料の構成が良かったと考え、資料作成にさらに時間を使うようになるかもしれません。

また、何かを褒めた時は、次に意識して欲しいことを伝えるチャンスです。

たとえば、「図と文字のバランスも良くて伝わりやすい資料だね!」と称賛した後に、「結構時間がかかったんじゃない?」と声をかけると、資料の品質を認めた上で、時間効率について話し合うことができます。

承認の活用|承認マネジメントの効果

「上司の承認を得る」のように、決裁や許諾に近い意味でも使われますが、今回は部下のマネジメント手法としての承認について扱います。

承認とは、相手の存在や行動、結果などを認めることです。

「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という承認欲求は、人間の根源的な欲求の1つであり(マズローの5段階欲求説)、誰しもが大なり小なり持っています。

マネジメントにおける「承認」には、部下の「自己効力感」を高め、「内発的動機づけ」を高める効果があります。

「自己効力感」とは、自分がある状況において必要な行動をうまく実行できるという自信の一種です。
人は自分の行動が認められる機会が増えると、次も上手くできそうと感じ自信を持ちます。

「内発的動機づけ」は、人の内面に沸き起こる意欲による動機づけです。
評価や金銭、賞罰といった外発的動機づけと比べて、内発的動機づけは長続きすると言われています。

承認をうまく使いこなすことができれば、仕事への動機づけができ、パフォーマンスが上がり、組織を成功に導くことができます。

承認マネジメントの使い方|承認の5つの種類

称賛マネジメントより、承認マネジメントははるかに多くの場面で活用ができます。
毎回成果を出せるとは限らないので、成果が出ない場合でも、部下を「承認」することでサポートすることができます。

承認には、何を承認するか(承認の対象)の違いで5段階のレベルがあります。

① 結果承認

「目標達成できたね」「受注できたね」「プロジェクトやり遂げたね」「成長したね」といったように、部下の目標達成や、仕事の成果・結果に対する承認です。

② プロセス承認

たとえ成果に繋がらなくても、まだ取り組んでいる途中でもできるのが、プロセス承認です。
目標達成や成果に至るまでのプロセス(過程)に着目し、その進め方や工夫を承認します。

「今回は受注できなかったけど、顧客のニーズを捉えた良い提案内容だったよ」
「このプロジェクト、マイルストーン通り順調に進んでいるね」

③ 行動承認

結果やプロセスには関連しない事柄でも、行動したことに対する承認です。

「いつも積極的に意見を出してくれるね」
「報連相のタイミングが早いから安心して任せられる」

④ 意識承認

心がけや行動しようとしていることに対する承認です。

「チャレンジしようという姿勢はとてもいいよ。フォローするからやってみな」
「相手への気遣いがすばらしいね」

⑤ 存在承認

その人の存在自体を認めるのが存在承認です。
イメージが湧きづらいですが、具体的な行動を見ると存在承認の感覚が理解できるはずです。

・初級 : 挨拶をする、名前を呼ぶ、声をかける、気遣う
・中級 : 意見を求める、相談する、提案を採用する、評判を伝える
・上級 : 仕事を任せる、役割を与える、育成を任せる

承認を活用できるとマネジメントの幅が広がる

結果が出たときの承認称賛は誰もが行っていると思いますが、結果に対する承認や称賛だけでは機会がなかなかありません。
また、上司の承認称賛がないと、メンバー同士の承認称賛も発生しないため、チームの雰囲気が停滞します。

そこで活用できるのが「承認マネジメント」です。

たとえば、プロセス承認は、成果が出る前でも承認することができ、部下もやり方は間違えてなかったんだと安心できます。
部下の自己効力感を高め、仕事に対する動機付けに効果的です。

若手社員の場合、スキルが不足しており、成果だけでなくプロセスも承認しづらいことがあります。
その時は、行動承認、意識承認、存在承認まで広げて、承認ポイントを見つけましょう。

  • 存在承認は、部下との関係性を高めます。
  • 意識承認は、行動に移す動機付けになります。
  • 行動承認は、その行動を継続する動機付けになります。

承認称賛は、メンバーの動機づけに非常に有効なマネジメントです。
ぜひ、承認マネジメントを活用してみましょう。

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