あなたのチームメンバーは、仕事にやりがいを感じていますか?
マネジメントする上で、メンバーがやりがいを感じるポイントを理解していますか?
メンバーが仕事にやりがいを感じているかどうかで、仕事への熱量が変わり、組織としてのパフォーマンスが変わってきます。
転職の一般化により、仕事のやりがいを軽視していると、社員の離職につながってしまうこともあります。
仕事のやりがいを高めることは、組織として高い成果を出し続けるために欠かせないマネジメントの1要素です。
今回は、仕事のやりがいを高めるマネジメントの方法について解説します。
やりがいを感じるポイントは人それぞれ
仕事のやりがいとは、「仕事をするだけの価値と、それに伴う気持ちの張り」を言います。価値があるかを判断するのは当人なので、「何にやりがいを感じるか」は人それぞれに違います。
メンバーにやりがいを感じるポイントを聞くと、実に多様な回答が返ってきます。
- 社会貢献している実感が持てること
- お礼や感謝の言葉をもらうこと
- 自分の仕事を認められること
- 頑張りに見合った評価や報酬を得ること
- 目標を達成すること(仕事をやり遂げること)
- 自分の能力を十分に発揮すること
- 能力やスキルが向上すること
- 自分の成長を実感すること
- 新しい仕事にチャレンジすること
- 自分で決める裁量があること
- 影響範囲が大きい責任ある仕事をすること
- 興味のある仕事をすること
- 尊敬できる人と一緒に仕事をすること
- チームで仕事をすること
- 部下の成長を感じること
このように、それぞれの価値観の違いでやりがいを感じるポイントは異なります。
そのため、全社的な取り組みだけでやりがいを高めることは難しく、やりがいを高めるには個別的なアプローチが必要です。
まずは互いの価値観を理解し、信頼関係を築くこと
やりがいを高めるための土台となるのは、上司や同僚との信頼関係です。
人間関係は、低いと不満を招く要因(衛生要因)です。同僚との関係が悪いと帰属意識やチームの一体感は生まれず、一緒に仕事をしたい、チームに貢献したいという感情も芽生えません。
マネジャーがメンバーと信頼関係を築けていない場合は、メンバーからの協力を得にくく、組織をマネジメントできません。メンバー同士の間を取り持ち関係性を良化する役割も担えません。
上司や同僚との信頼関係が低い場合は、まずはコミュニケーション量を増やし、互いの価値観を理解しあうことから始めましょう。
メンバーの価値観を理解することは、メンバーがやりがいを感じるポイントを知るのにも役立ちます。
価値観を言語化するのはなかなか難しいため、きっかけとして「ソーシャルスタイル診断」や「ストレングスファインダー」などのツールを用いるのもおすすめです。
言動のタイプや、当人が持つ強みや資質が事前にわかると、それをもとに会話を広げ、理解を深めていくことができるので、短い時間でメンバー理解を進めることができます。
(参考)価値観とは|メンバーのやる気を引き出す価値観理解
役割や目標を明確にする
組織の役割や目標を明示する
メンバー個人の目標設定の前に、マネジャーから組織の役割や目標を明示することが大切です。
例えば、「社会貢献したい」という価値観の場合、会社としては社会貢献性が高い事業をしていても、細分化した組織の中で与えられた業務が、本当に社会のためになっているのか?という疑問を抱くケースが少なくありません。
マネジャーから組織の役割を明示し、仕事の意義を語ることで、社会に貢献している感覚を持たせることができます。
どんな山を登ろうとしているのか。組織の目標を明示することも重要です。
目標とする地点の目線合わせができていない中でメンバーに目標設定を依頼すると、組織目標に連動しない個人目標になってしまいます。
これでは、個人目標を達成しても、組織目標が達成されないことが増え、「達成したのに評価されない」という不満につながってしまいます。
メンバーに目標設定を依頼する前に、必ずマネジャーから組織の役割や目標を明示するようにしてください。
メンバー個人の目標設定を行うこと
目標管理制度(MBO)やOKRなど種類は別として、多くの企業でメンバー個人の目標設定を行い、それに基づいた評価、報酬の体系をとっています。
「目標を達成すること」「頑張りに見合った評価や報酬を得ること」からやりがいを感じる人も多いため、目標設定の形骸化は、やりがいを低下させる要因になります。
目標設定のポイントは、以下コラムでまとめていますので、併せてご覧ください。
(参考)目標設定とは?|部下のやる気を引き出す目標設定のやり方
メンバーの価値観と結びつけ(意味づけして)業務をアサインする
組織には組織の役割があり、やらなければならない業務があります。
マネジャーは、メンバーに業務をアサインし、組織として成果を最大化することを考える必要があります。
誰に、どの業務を、どのように任せるか。ここに、マネジメント力の差が出てきます。
なぜあなたに任せたいかを説明せず「来週までにこれやって」と業務を依頼したり、「やるべき仕事だから」「他にできる人がいないから」「やって当然の職務/職位だから」という会社/組織都合の理由で仕事をアサインしていませんか?
メンバーの価値観を理解していれば、やりがいを感じる文脈で業務を意味づけしてアサインすることができ、そうすることで業務へのやる気を高めることができます。
「能力やスキルが向上すること」がやりがいになるメンバーには、
「自社サービスを組み合わせた総合的な提案ができるようになりたいと言っていたよね。今回の顧客はそのチャンスがありそうだから、○○さんに任せたい」
「影響範囲が大きい責任感ある仕事をすること」がやりがいになるメンバーには、
「このプロジェクトは、当社のサービスの新しい柱になる可能性がある重要なプロジェクト。少しレベルが高いかもしれないけど、フォローするのでやってみない?」
会社や組織の都合(Must)だけで業務をアサインするのではなく、メンバーのやりたいこと(Will)やできること(Can)にも着目して、仕事の任せ方にも気をつけてみてください。

フィードバックや承認称賛で、やりがいを感じるタイミングを作る
「お礼や感謝の言葉をもらうこと」「自分の仕事を認められること」など、フィードバックや承認・称賛を受けることによってやりがいを感じる人も非常に多いです。
承認欲求は人の根源的な欲求であり、誰もが人から認められたいと思っています。
ただ、人によって認められたいポイントは異なるため、メンバーそれぞれの価値観に合わせて承認・称賛を行えるとベストです。
しかし、マネジャーは「できるプレイヤー」だった方が多いため、このくらいできて当然、当たり前と感じてしまい、承認・称賛が苦手という方も多いようです。
承認・称賛はテクニックなので、承認するポイントを押さえれば意外と簡単にできるようになります。
以下コラムで、5つの承認レベルについてまとめていますので、参考にしてください。
(参考)承認・称賛のマネジメント|部下のやる気を引き出す承認と称賛の使い方
仕事のやりがいは、非常に多くの要素が影響しており、メンバーの価値観を理解した上で個別アプローチで解決していく他ありません。
メンバーとの信頼関係を築く。
役割や目標を明確にする。
メンバーの価値観に結び付けて業務をアサインする。
フィードバックや承認称賛を行う。
マネジャーとしての役割を1つ1つ着実に実行していくことで、結果としてメンバーが仕事にやりがいを感じられるようになります。
自身のマネジメントを振り返り、できていないことを順番に改善していきましょう。